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Instagramを閉じた午後、私は少し泣いた

目次

登場人物

  • 名前(仮名):岡田 美結(おかだ みゆ)
  • 年齢:34歳
  • 性別:女性
  • 住まい:愛知県・実家暮らし
  • 職業:パート勤務
  • 現状の悩み:結婚も転職もできず、SNSを見るたび自己嫌悪になる

物語

1.スマホの通知が静かに消えた午後

午後2時すぎ、パートから帰宅して、コンビニで買ったツナマヨおにぎりを食べながら、何気なくInstagramを開いた。

タイムラインには、きらびやかなランチ、夫婦の記念日、育児のひとコマ、真っ白なキッチンで笑う誰かの姿。

指を止めたのは、高校の同級生の投稿だった。

「娘、3歳になりました🎂 ママになれて幸せ」

ピンクのワンピースを着た女の子と、笑顔の彼女。そこには、かつての“あたしの知ってる彼女”の面影はなくて。

それを見た瞬間、なんでもないような顔をしながら、おにぎりの包みを丸めてゴミ箱に放り投げた。

2.「あたし、なにやってんだろう」

34歳。
正社員経験はゼロ。
スーパーの品出しバイトは、6年目。

実家の自室に戻って、洗濯物をたたみながら、ふと鏡を見た。

頬骨のあたりに疲れが残ってる。
髪は昨日まとめたまま。
服もパート用のまま。

「なにやってんだろう、あたし」

その言葉がぽつんと口からこぼれた瞬間、胸の奥がツンとした。

泣くほどじゃない。だけど、心がぎゅっと縮こまるような、そんな感じ。

3.「いいね」が怖くなった日

かつては私も、自分の写真をアップしてた。
カフェに行った日、旅行先、推しのライブ。
いいねがつくたびに、誰かに認められた気がして。

でも今は、投稿するたびに誰かと自分を比べてしまう。
服も、部屋も、笑い方さえも。

「この人、何者?どうしてこんなにちゃんとしてるの?」
そんな嫉妬まじりの感情が芽生えて、画面を閉じた。

Instagramが“つながり”ではなく、“比較の戦場”になっていた。

4.親の優しさが、今はしんどい

実家に暮らしていると、ありがたいこともある。
家に帰れば誰かがいて、ごはんが出てくる。

でも、最近その“ありがたさ”が、苦しくなるときがある。

母は何も言わない。
だけど、夜ごはんの支度をしながら、たまにこう呟く。

「◯◯ちゃんとこの娘さん、今年結婚するんだって」

悪気なんてない。
ただの世間話。
だけどその言葉は、まるで矢みたいに胸に刺さる。

5.将来の話を、できる人がいない

学生時代の友人とは、だんだん疎遠になった。
結婚した子、子育て中の子、海外に行った子。

LINEの通知は少なくなり、Instagramのストーリーは、どこか遠くの誰かの日常みたい。

「あんた、将来どうするの?」
そう聞かれても、答えられない。

正社員になるには遅すぎる気がする。
結婚は…誰とも出会ってないし、誰かに好かれる自信もない。

じゃあ、どうすればいいんだろう。

6.ひとりの時間に、泣けるようになった

昔は泣くことに抵抗があった。
弱い自分を見たくなかったし、見せたくなかった。

でも最近は、泣ける。

泣いているとき、やっと“本音”に会える。

「あたし、本当は不安だったんだな」
「誰かに認めてほしかったんだな」

涙は、現実を変えてはくれないけれど、せめて“気づくこと”だけは許してくれる。

一言まとめ(人生の問い)

「SNSを閉じたあと、あなたはどんな気持ちになりますか?」
誰かと比べすぎた午後、どうか、自分を責めすぎないで。

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